ヴェニスに死す  Tod in Venedig    Death in Venice


世界初演
2003年12月7日  ハンブルク  ハンブルク・バレエ

音楽
ヨハン・セバスチャン・バッハ  リヒャルト・ワーグナー

振付・演出
ジョン・ノイマイヤー

舞台美術
ぺーター・シュミット

衣裳
ジョン・ノイマイヤー  ペーター・シュミット

照明
ジョン・ノイマイヤー

ピアノ
エリザベト・クーパー


主な配役

グスタフ・フォン・アッシェンバッハ  ロイド・リギンズ
アッシェンバッハの助手
アッシェンバッハの母

タジオの母
 ラウラ・カッツァニガ
タジオ  エドウィン・レヴァツォフ
フリードリッヒ大帝  イヴァン・ウルバン
ラ・バルバリーナ  エレーヌ・ブシェー
アッシェンバッハのコンセプト  シルヴィア・アッツォーニ
 アレクサンドル・リアブコ
さすらい人、ゴンドラ漕ぎ
ディオニュソス、理容師
ギター弾き

 イリ・ブベニチェク
 オットー・ブベニチェク
若きアッシェンバッハ  アントン・アレクサンドロフ
ヤチュー、タジオの友人  アルセン・メグラビアン



"Wer die Schoenheit angeschaut mit Augen,
Ist dem Tode schoen anheimgegeben"
August von Platen, "Tristan"

「自己の目で美を凝視したものは
すでに死に供されている」
アウグスト・フォン・プラーテン、 “トリスタン”


上記のハンブルク・バレエのHPで引用されている詩は
トーマス・マンが「結婚について」で書いたものの中で、引用されている詩だと、
ルキノ・ヴィスコンティがインタヴューの中で答えています。
この詩は既に有名なものなのでしょうが、
ノイマイヤーがマンの記述から直接引用したものなのか、
はたまたヴィスコンティ経由で知ったものなのか不明です。

ヴィスコンティのインタヴューは
新書館刊「ヴィスコンティ秀作集1 ヴェニスに死す」に
シナリオとともに掲載されています。

原詩と訳詞はこちら

アウグスト・フォン・プラーテンに関してはこちら、 英語版はこちら
(S)

あらすじ



T 創作と高潔さ(Nobilitierung)
尊厳を獲得した芸術家
大振付家のグスタフ・フォン・アッシェンバッハはプロシアの王、フリードリッヒ大帝についてのバレエを創っている
− 彼は
仕事をなしとげることができないのではないかという芸術家としての恐れを抱いている。
アッシェンバッハの
名声は広く認められていて、50歳の誕生日には彼の名前に貴族の称号が与えられ
彼のバレエは授業に取り入れられている。
フリードリッヒ・プロジェクトで創る彼の作品は彼の代表作になるだろう、
しかしそのスケッチはまだはっきり形になっていない。
芸術的な感性豊かな母のことを思い出して彼は創作に集中できない。
絶えず宮廷バレリーナの“ラ・バルバリーナ”と、とりわけフリードリッヒ大帝が彼の脳裏に現れ、
そして彼らを不滅のものにする振付家を探している。

U 疲労困憊の果てに
アッシェンバッハは絶望して創作から逃げ出し、奇妙な
他国からやって来たさすらい人に出遭う。

V 泳いでいる感覚 − ヴェネチアへの旅
アッシェンバッハは旅に出たいという気持ちにかられ、それは
情熱的なものに、いや、幻覚にまで高まる
ゴンドラの船頭がアッシェンバッハをリド行きの船に乗せる。
際限のないものの中でのまどろみ

W 無言の出会い - オテル・デ・バン
ロビーでは上流階級の人たちがゆっくりと歩いている。
グスタフ・フォン・アッシェンバッハの名声は良く知られている。
痛ましい元気さを見せて、惨めに酔っ払った若作りした者が踊っている。
素足のタジオが遊び友達 - 彼は気性が荒いのだが - を探している。
フォン・アッシェンバッハは
その少年の完璧な美しさに驚嘆する。
タジオの母が登場する。
3人の姉妹たちは躾がいきとどいている。
両腕を開いて広げること - それは喜んで歓迎し、落ち着いて受け入れるしぐさだ

X 楽園で - リド島にて
海岸の光景、海陸の境界で何の憂いもなくその感覚を楽しむ文化を眺めること:海。
太陽は我々の注意を知的なものから官能的なものへと転じる
タジオの微笑みにフォン・アッシェンバッハは抵抗できない。
タジオのいるところで仕事をする:フォン・アッシェンバッハは愛を振付けようとする。

Y 異国の神の夢
アッシェンバッハは海岸でまどろんでいる。
(彼の中に)
出来事が外から押し入ってくる、彼の抵抗 - 深刻な彼の精神的抵抗にもかかわらず
不安と快感と、まさに来ようとするものに対する愕然たる好奇心

Z 変容
理髪用の布がかけられ、おしゃべりの理容師がこまめに動かす手の下で椅子の背にもたれる:
結局のところ、私たちの年齢は頭や心がどう感じるかによって決まってくる
- 人は自然な髪の色を要求する権利がある。

[ 死の踊り ギターリストの演奏
ギターリストたちは残忍で向こうみず、危険で楽しい
輝く愛 - 愚かな死(リヒャルト・ワーグナーのジークフリートから)。

\ ピアノに - 決断と別れ
グスタフ・フォン・アッシェンバッハは作品に手をつけないままにしている。
彼のフリードリッヒ大帝の作品は未完成のままだ。

] 愛の死


(以上はハンブルク・バレエのHPに拠る。S)
(注)黄色の文字はトーマス・マンの原作からの引用。
原文の引用部分、および翻訳の引用部分についてはこちら。(S)